2018/3/16-24 STORE FRONT
.犬も舟も物心ついた時から親しくわたしのそばに在りました。古い写真には大きな白い犬にさわる歩き始めの頃や手漕ぎボートに乗る私が写っています。
東日本大震災で海に流された犬が3週間漂流したのちに保護されたニュースが流れた時、私の中の犬と舟は明確に生命力の象徴になりました。
今回の展示「生存犬」は多くの方の予測のとおり「生存権」が念頭にあります。
人間が人間らしく生きるために必要な諸条件を国家に要求する権利である「生存権」の、その「諸条件」とはなにか。
「朝日訴訟」では生活保護の入院日用品費の月額600円(1957年当時)が憲法でうたわれる「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに妥当かどうかが問われました。国が600円の内訳を示した資料には、1年にパンツ1枚と足袋1足、シャツは2年に1枚、鉛筆が年6本、用紙代は月20円などが積算されています。
学資保険への加入と保有は2004年、エアコンの購入は2014年にようやく認められました。
人間らしい生存への気の遠くなるような長い道のり。
一方で犬たちはとても単純に、生きるために必要な諸条件を訴えます。
生きて在るということの強さと弱さをしめします。
その単純さやわかりやすさに私は救いを感じます。
わたしの救いは人間の救いにもなりはしないか。
「生存犬」に姿をかりて、生存の確かさに近づきたいと考えました。
年明けにキュレーターの山内舞子さんに今回の個展の構想をお話しした際、山内さんが「舳先のストレルカ」という連想をしてくださいました。ストレルカは1960年にソビエトの宇宙船スプートニク5号で地球軌道を回り帰還に成功した犬です。
展示した油彩のうちの1点のタイトルを「舳先のストレルカ」とさせていただきました。
寄せていただいた凜としたイメージとタイトルへの使用を快諾くださったことに心から感謝申し上げます。
東日本大震災で海に流された犬が3週間漂流したのちに保護されたニュースが流れた時、私の中の犬と舟は明確に生命力の象徴になりました。
今回の展示「生存犬」は多くの方の予測のとおり「生存権」が念頭にあります。
人間が人間らしく生きるために必要な諸条件を国家に要求する権利である「生存権」の、その「諸条件」とはなにか。
「朝日訴訟」では生活保護の入院日用品費の月額600円(1957年当時)が憲法でうたわれる「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに妥当かどうかが問われました。国が600円の内訳を示した資料には、1年にパンツ1枚と足袋1足、シャツは2年に1枚、鉛筆が年6本、用紙代は月20円などが積算されています。
学資保険への加入と保有は2004年、エアコンの購入は2014年にようやく認められました。
人間らしい生存への気の遠くなるような長い道のり。
一方で犬たちはとても単純に、生きるために必要な諸条件を訴えます。
生きて在るということの強さと弱さをしめします。
その単純さやわかりやすさに私は救いを感じます。
わたしの救いは人間の救いにもなりはしないか。
「生存犬」に姿をかりて、生存の確かさに近づきたいと考えました。
年明けにキュレーターの山内舞子さんに今回の個展の構想をお話しした際、山内さんが「舳先のストレルカ」という連想をしてくださいました。ストレルカは1960年にソビエトの宇宙船スプートニク5号で地球軌道を回り帰還に成功した犬です。
展示した油彩のうちの1点のタイトルを「舳先のストレルカ」とさせていただきました。
寄せていただいた凜としたイメージとタイトルへの使用を快諾くださったことに心から感謝申し上げます。